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急性心不全に対するネシリチド(BNP)の効果 [抄読会]

Effect of nesiritide in patients with acute decompensated heart failure.

【背景】 
 ネシリチド(BNP)は,急性心不全患者に伴う呼吸困難の治療薬として承認されている.しかし,これまでに行われた研究からネシリチドに合併症増加・死亡率悪化の可能性があることが示唆されている.

【方法】
 急性心不全により入院した患者 7,141 例を,標準治療に加えてネシリチドを投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.投与は 24 - 168 時間行った.主要エンドポイントは,呼吸困難発症 6 時間後,24 時間後の変化と30 日以内の心不全による再入院または死亡の複合割合とした.

【結果】
 ネシリチド群ではプラセボ群と比較して,呼吸困難の著明な改善または中程度に改善される割合が,6 時間後(44.5% vs 42.1%,p=0.03),24 時間後(68.2% vs 66.1%,p=0.007)と有意に高かったが,事前に規定した有意水準には達しなかった(両時点の評価について p<0.005 またはいずれかの時点で p<0.0025).30 日以内の心不全による再入院または全死因死亡の発生率は,ネシリチド群 は9.4%であったのに対し,プラセボ群 10.1%であった(絶対差 -0.7 パーセントポイント,95% CI -2.1 - 0.7,p=0.31).30 日の全死因死亡率(ネシリチド群 3.6% vs プラセボ群 4.0%,絶対差 -0.4 パーセントポイント,95% CI -1.3 - 0.5),推定糸球体濾過量の低下が 25%を超えることと定義した腎機能悪化の発生率(31.4% vs 29.5%,OR 1.09,95% CI 0.98 - 1.21,p=0.11)に,有意差を認めなかった.

【結論】
 ネシリチドは,死亡と再入院の発生率の上昇にも低下にも関連しておらず,呼吸困難に対する効果は小さかった.腎機能の悪化との関連は認められなかったが,低血圧の発生率上昇との関連が認められた.よって急性心不全症例に対するネシリチドのルーチン使用は推奨されない.

【解説】
 本研究では当初懸念されていたネチシリドによる(特に低血圧に起因すると思われる)腎機能の悪化,死亡率の上昇は認められなかった.その一方で,ネチシリドは従来の硝酸薬を使用した治療法との間に有意差を認めることができなかった.日本ではネチシリドは発売されていないが,カリペプチド(ANP)が同様の目的で使用されている.カリペプチドは作用時間がネチシリドより短く低血圧も起こしにくいとされている.しかし急性心不全を対象とした研究は行われていないため,今後RCTによる検討が必要であろう.

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