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周術期に発症するPAC・PVC その2 [PAC・PVC]

1) 周術期心房細動の特徴
 周術期心房細動は,冠動脈バイパス術周術期に最も多く発症する合併症であり,30%の症例に発症する.また弁置換術では30-40%,複合手術では40-50%で発症し1),非心臓手術である肺手術においても葉切除で10-20%,全摘術では40%の症例で発症する2).周術期心房細動は周術期2日目にもっとも多く発症し,その40%が再発する1).周術期心房細動は周術期に一時的に発症するだけで生命予後に影響を及ぼすことは少ないと考えられてきたが,発症すると在院日数の延長だけでなく脳梗塞発症率は3倍になり,周術期死亡率も悪化する2).また周術期だけでなく遠隔期予後も悪化することが報告されている.周術期心房細動は特に高齢者では発症率が高い1).従来から危険因子として挙げられていた左心房拡大,左心室肥大だけでなく,近年,糖尿病,肥満,メタボリック症候群と周術期心房細動の関連が指摘されている3).術中では心房の損傷,心房の虚血,脱血管挿入,急激な循環血液量変化,すなわち人工心肺装置導入,維持,離脱時における変化が周術期心房細動の危険因子となる.さらに人工心肺装置使用に伴い炎症性反応も惹起されることも周術期心房細動の誘因となり,人工心肺装置を使用した開心術では周術期心房細動が発症しやすいと考えられている4).従来から容量過負荷,電解質異常,心房期外収縮,交感神経系の緊張の心房細動への関与は指摘されていたが,近年,それらの因子に加えて炎症性の反応が周術期心房細動へ関与することが明らかになってきた5).上述したような周術期危険因子の解明により,周術期心房細動の予防法,治療法は新たな展開を見せている.

【参考文献】
1) Almassi GH et al.: Atrial fibrillation after cardiac surgery: a major morbid event? Ann Surg. 226 :501-11,1997
2) De Decker K et al: Cardiac complications after noncardiac thoracic surgery: an evidence-based current review. Ann Thorac Surg. 75:1340-8, 2003
3) Echahidi N et al.: Obesity and metabolic syndrome are independent risk factors for atrial fibrillation after coronary artery bypass graft surgery. Circulation. 116 :I213-9,2007
4) Echahidi N et al.: Mechanisms, prevention, and treatment of atrial fibrillation after cardiac surgery. J Am Coll Cardiol. 51:793-801,2008
5) Ishii Y et al.: Inflammation of atrium after cardiac surgery is associated with inhomogeneity of atrial conduction and atrial fibrillation. Circulation. 111 :2881-8,2005

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