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低侵襲循環管理モニタリング その2 [循環管理モニタリング]

2. 新しい循環管理の指標
a.SVV (stroke volume variation),PVI (pleth variability index)
 従来より輸液管理の指標としてはCVP,PCWPなどのいわゆる静的パラメータが使用されてきた.しかし近年輸液反応性の予測には静的パラメータは有効ではない1),敗血症症例ではCVP,PCWPと輸液反応性との関連は薄く2),輸液負荷の指標としてはSVV1),PVI3)などの動的パラメータが有用であると報告されている.このことは,心室コンプライアンス曲線からも裏付けられる(図).循環血液量が不足している状態では容量が圧に反映されにくいため,圧を容量の指標として代用することが難しい.一方,この状況においては呼気時の1回拍出量が吸気時の1回拍出量より減少し圧波形の呼吸性変動が生まれSVVの値は上昇する.SVV値が13%以上で輸液反応性があると報告されている.同様にパルスオキシメータのプレシスモグラフィー波形の呼吸性変動であるPVIは14%以上を指標にすると有効である3).一方,SVV,PVIは循環血液量不足の検出には優れているが,容量過負荷の検出は難しい.そのため輸液過剰を避けるためにはCVPによる評価が必要である.また,輸液反応性に関してもSVVの有用性を証明できなかったとの報告もあるため4),SVVの妥当性に関しては今後さらなる検討が必要である.

b.ScvO2
 中心静脈血酸素飽和度(ScvO2)は目標指向型管理に使用されたモニターでは唯一生命予後を改善したモニターであり5),集中治療領域だけでなく心臓手術周術期管理においてもその有効性が確認されている6).ScvO2はSvO2同様酸素需給バランスを反映し,SvO2とは正の相関があり7),値はSvO2より5%高い8).一般的にSvO2は65%以上を維持することが推奨されている.ScvO2を指標とする場合には70%以上を維持することが望ましい.

CO測定.jpg
            図.心室コンプライアンス曲線

おわりに
 様々な低侵襲心拍出量測定デバイスが開発されたが,現在でも心拍出量測定のgold standardはPACを用いた熱希釈法である.PAC活躍の場は限定されつつあるが,正確な心機能評価が必要な症例ではPACをためらわずに使用する.
 重症患者の輸液管理においてはSVVを指標に組織灌流を維持し,CVPを指標に輸液過剰を回避することが推奨される.このことは心室コンプライアンス曲線(図)からも裏付けられる.さらに酸素需給バランスはScvO2を指標に管理する.
 以上,周術期の低侵襲循環管理モニタリングについて概説した.これからもより低侵襲かつ精度の高いデバイスの開発が期待される.

【参考文献】
1) Michard et al: Chest. 2002;121:2000-8
2) Osman D et al: Crit Care Med. 2007;35:64-8
3) Cannesson M et al: Br J Anaesth. 2008;101:200-6
4) Lahner D et al: Br J Anaesth. 2009;103:346-51
5) Rivers E et al: N Engl J Med 2001;345:1368-77
6) Polonen Pet al: Anesth Analg. 2000;90:1052–59
7) Ladakis C et al: Respiration. 2001;68:275-85
8) Reinhart K et al: Int Care Med. 2004;30:1572-8
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低侵襲循環管理モニタリング その1 [循環管理モニタリング]

はじめに
 麻酔,集中治療領域においては肺動脈カテーテル(PAC)を使用して心拍出量,肺動脈圧,中心静脈圧などを測定し,重症症例における循環管理の指標としてきた.しかし,大手術施行症例の予後はPAC使用の有無によらず,むしろ濃厚な治療が行われる可能性がある1),ICU入室症例に対する生命予後はPAC使用の有無によらない2),重症心不全症例においても生命予後はPAC使用の有無によらない3),さらにPAC使用により9.5%の症例で肺塞栓,誤穿刺,肺動脈穿孔等の合併症を発症した4)との報告を受け,PACの用途は次第に限定されつつある.
 現在ではより低侵襲な心拍出量測定法,循環管理における新しい指標が提案されている.本稿ではこれらの低侵襲循環管理モニタリングについて概説する.

1. 低侵襲心拍出量測定法
a.PiCCO
 動脈圧波形分析法を用いた連続心拍出量測定法である.経肺的熱希釈法で得られた心拍出量で校正を行う.連続的に心拍出量が得られ,肺血管総容量,血管外肺水分量,SVV(stroke volume variation)など他のパラメータの測定が可能である.一方で,太いカテーテルを大腿動脈に留置しなければならないこと,留置後も血栓形成や下肢虚血の危険性があることに注意が必要である.

b.NICO
 部分的二酸化炭素再呼吸法を用い,Fickの原理を応用して心拍出量を求める.患者の気管チューブと人工呼吸器の間に再呼吸用の専用ループを組み込み,心拍出量を測定する低侵襲循環モニターである.一方で二酸化炭素を再呼吸させるため脳圧亢進症例,重症肺高血圧症症例での使用は難しい.また人工呼吸器下の測定が前提となるため,用途が限定される.

c.APCO
 PiCCO同様,動脈圧波形分析法を用いて心拍出量を測定する.しかしAPCOでは,PiCCOで必要な大腿動脈の確保や熱希釈法による心拍出量の校正は必要とせず,年齢,性別,身長,体重から大動脈のコンプライアンスを推測して心拍出量を算出する.通常の動脈ライン留置症例と同程度の侵襲で心拍出量を算出できるため低侵襲なデバイスであるが,他の心拍出量測定法と比較するとやや正確性に劣る.

d.TEE
 TEEを用いて心拍出量を測定する.具体的な方法としては,大動脈弁短軸像を描出して面積を測定する.続いて心尖部長軸像を描出してVTI (velocity-time integral)を算出し,得られた値を掛け合わせる5)

CO=(VTI×AVOA×HR)/1000

PACを用いた熱希釈法と同等の精度であるが,習熟に時間を要すること,実際の測定にも時間を要することが欠点である.

以上の心拍出量測定法の特徴を図にまとめる.
CO測定.jpg

【参考文献】
1) Shndham JD et al: N Engl J. Med 2003;348:5-14
2) Richard Cet al: JAMA. 2003;290:2713-20
3) Binanay C et al: JAMA. 2005;294:1625-33
4) Harveys S et al: Lanset. 2005;366:472-7
5) Darmon PL et al: Anesthesiology. 1994;80:796-805
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